韓国の格安航空会社ジンエアーに関して、現職機長とされる人物による内部告発が、匿名掲示板を通じて拡散されています。
投稿内容は、安全運航に関する深刻な懸念を示しており、乗客や関係者の間で波紋が広がっています。
本記事では、告発内容の詳細と、これに対するジンエアーの公式見解を丁寧にまとめました。
現職機長による内部告発の投稿とは
2025年6月10日、ある匿名掲示板に「7~8月はジンエアーに乗らないでください(現職ジンエアーB737機長より)」というタイトルの投稿が掲載され、大きな注目を集めました。
投稿者はジンエアーの現役機長を名乗り、会社の運航体制や労働環境に対する深刻な懸念を表明しています。
この投稿は、職場認証が必要な内部限定のコミュニティに投稿されたものであり、単なる外部の意見ではなく内部告発と見なされる可能性があります。
投稿者は「乗客の安全を最優先に考える立場から、会社の体制に対して警鐘を鳴らす」と述べ、広く拡散されることを望んでいます。
指摘された操縦士不足と過酷な勤務実態
投稿によると、ジンエアーでは操縦士が不足しているとのことです。国土交通部の勧告では、飛行機1機あたり機長・副機長それぞれ8人が望ましいとされていますが、ジンエアーは保有機31機に対し、機長240人、副機長185人と、副機長が不足しているといいます。
さらに、操縦士の休暇日数も他社より少ないという主張もあります。
特に繁忙期となる7月には、副機長の休暇が月9日から8日に減らされる予定だという内部情報も投稿されました。
投稿者は「徹夜で東南アジア便を飛行した後、翌朝3時起きで再び日本へ向かうこともある」とし、極度の疲労状態で飛行任務をこなしている現状を訴えています。
衛生状態に問題?機内食への懸念も
また、乗務員が摂取する機内食の衛生状態についても問題があるとされ、カビの生えたパンや異臭のするベーコンなどの写真が投稿されました。
投稿者は「食中毒を避けるために機長と副機長で別の食事をとる慣習があるが、それでも食事を避ける職員が多い」と説明し、改善が行われないまま放置されていると非難しています。
ジンエアーの公式回答と反論
これらの告発に対して、ジンエアーは「一方的な主張であり事実ではない」と否定しました。
ジンエアー広報チームは「現在、31機の機材に対して訓練中を含む運航乗務員は543人、うち既成乗務員は435人で、国土交通部の1機あたり6SET(機長6名、副機長6名)という勧告を満たしている」と説明。
また、繁忙期に副機長の休暇を減らす計画もないと発表しました。
さらに、「機長2名体制での飛行」については、現段階での実施計画はないとしつつも、「違法ではない」との立場を取っています。
機内食に関しても、「職員からのフィードバックをもとに改善を継続しており、カビとされる物については社内での報告がない。該当の写真についても自社提供品かどうか確認できない」と釈明しました。
安全運航の信頼回復には何が必要か
今回の告発は、匿名でありながら現職機長の声とされている点で、航空利用者に大きな衝撃を与えています。
ジンエアー側は全ての指摘を否定していますが、内部からの声である以上、国土交通部などの第三者機関による客観的な調査や確認が求められます。
乗客の命を預かる航空会社にとって、安全性への信頼は何よりも大切です。
ジンエアーが今回の告発を真摯に受け止め、透明性と安全性を高めていくことが求められています。